範囲と内容
高エネルギー粒子の材料照射実験は,材料に欠陥を導入する手段として,また照射下で使用される材料の特性試験として行われている。これらの実験の目的は,原子炉や加速器で使われる材料の放射線による劣化の予測や,放射線に強い材料の探索や開発などである。その特性試験においては透過電子顕微鏡を用いた照射による構造変化の観察が重要である。 本資料は,金属材料を中心としたさまざまな材料に高エネルギー粒子照射を行い,照射後の材料を電子顕微鏡観察した結果を記録した電子顕微鏡写真のネガフィルムであり,さまざまな形態の格子欠陥像が撮影されている。幅広い実験条件を網羅するだけでなく,いま試験研究炉や加速器などの照射設備の運転停止や運転条件の変更(実験規模の縮小)により,もはや実施できないような条件で照射された希少な照射材料の撮影結果を含んでいる。
電子顕微鏡写真は, ほとんどが東北大学金属材料研究所附属材料試験炉利用施設(茨城県大洗町)に置かれた2つの透過型電子顕微鏡(TEM; 日本電子製, JEOL JEM200CX)により撮影された. 撮影対象となった材料の多くは, 前掲材料試験炉利用施設を通して, 日本原子力研究所(当時, 現・日本原子力研究開発機構)大洗研究所の材料試験炉JMTR(Japan Materials Testing Reactor), 高速実験炉「常陽」(Joyo), で照射された. 米国ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)のRTNS-II(Rotating Target Neutron Source-II; 回転ターゲット型・加速器型の核融合エネルギー中性子源)で照射された材料も含まれる. 写真は, 使用された2つのTEMによりシリーズに分けられる. TEMの1つは大洗(Oarai)からとった「O」と命名され, 「O」のTEMを使った写真をOシリーズとした. もう1つのTEMは「L」と命名され, 同機による写真はLシリーズとされた. 「L」の由来は, もともとそのTEMが, 1982〜1986年度の日米協力研究(日米核融合協力)のため, ローレンス・リバモア国立研究所へ運ばれ使用されていたことによる. 同日米協力研究終了後に大洗へ置かれたため, Lシリーズは1987年以後に生成される. なお, Lシリーズの遅い時期には中性子照射以外(イオン照射等)の写真が含まれ, 後にLのTEMが名古屋大学へ移設されたことと無関係ではない.
日付
- 作成: 昭和59年(1984)〜平成9年(1997)
作成者
- コレクション : 義家, 敏正, 1948- (Creator, 個人)
- コレクション : 京都大学複合原子力科学研究所照射材料工学研究分野 (Custodian, 団体)
資料の言語
日本語 Japanese
分量(全体)
コレクション : 62 冊(ノート). : 大学ノート.; 1冊あたりA4判.
分量(全体)
コレクション : 63351 枚[フィルム写真] (スチル製キャビネット2基(引き出し12本)に収納. キャビネットは, 精密制御照射(SSS)管理室に所在. (2019年度・2020年度に整理された.) ほとんどのネガフィルムは半透明のフィルムカバーに収められている.): モノクロネガフィルム.; (フィルム) 1枚あたり82mm×118mm. (フィルムカバー) 1枚あたり約95mm×135mm.
物理的特徴
63,351 枚.
«ARK(former)»
https://peek.rra.museum.kyoto-u.ac.jp/ark:/62587/ar114199.114293
注記・凡例等
透過電子顕微鏡写真(ネガフィルム)それぞれの情報は, 対応する記録ノートから編集している. その情報のうち「範囲と内容」に記した「( )」内の各項目の説明は, つぎのとおり.
「( )」内の各項目の意味
- 試料名
- 記録ノートに記される金属名及び合金名を記入した. 合金の場合, 例えばNi-2Cu, Ni-2%Cu, Ni 2Cuなど同じ内容でも記載が異なれば, ノートの記載通りに記入した. もし, ノート内にJLF-○やJHN-○という記載がある場合, 共同研究「低放射化合金鋼の機械的性質に及ぼす中性子照射効果」(1992)で扱われた試料を指すため, ここに記入した. その他, SUS(オーステナイトステンレス鋼), Ferr(フェライトステンレス鋼)もある.
- 試料番号
- アルファベット+数字(R331など)の記載があればそれを記した.
- 照射条件
- 照射条件として, 用いた装置が書かれてある場合はここに記入した. 例えば, JMTR(大洗), JOYO(大洗), RTNS-Ⅱ(米国), FFTF-MOTA(米国)など.
- 照射温度
- 温度の記載があればそれを記した. ℃, C, °, 度なし等, 記録ノートの記載通りとした. 温度の後に続く, control, uncontrol, improved, conventional, C, U(C, Uはそれぞれcontrol, uncontrolを指す)等の記載は, 同じように温度の後に記入した. 例) 200℃ control等. ※RT(Room Temperature)は室温(300K). ※「K」は絶対温度(Kelvinケルビン), 0K=絶対零度は-273.15℃, 室温約27℃は300K.
- 照射量
- 照射量の記載は, 具体的にはつぎのとおり: WはWeak, MはMedium, SはStrongを表し, 弱い方からWW, W, M, S, SSの5段階がある.
- Dark, Bright, ED
- DF(Dark Field), BF(Bright Field), ED等を記した.
- 条件・倍率等
- DF, BF, EDの隣などに数字(100や1万など)があった場合, ここに記した.
- 反射ベクトルg
- 反射ベクトルがあればここに記す. 3次元の情報が111, 200などのように記される.
- ブラッグ条件s
- ブラッグ条件からのずれを記した. s=0がブラッグ条件を表し, s>>>0など>を用いてどれだけずれているかをあらわす.
- [その他]
- 「EM/D3」の「EM」は電子顕微鏡の薄い試料であることを指し,「D3」はバルク(厚い)状態であることを指す. 「D3」の「3」は厚さ数字で, 3mmのこと.
リポジトリの詳細
つぎのリポジトリの一部: Kyoto University Research Resource Archive リポジトリ
(運営責任部局) 京都大学総合博物館 The Kyoto University Museum
左京区 吉田本町 Sakyo-ku Yoshida honmachi,
京都市 Kyoto city, 京都府 Kyoto prefecture, 606-8501 Japan