宮本正太郎資料 : 火星スケッチ, 1955-1976. Miyamoto (Shotaro) Papers : Drawings of Mars, 1955-1976.
範囲と内容
手書きスケッチ. ほか, 手書き草稿, 孔版配布資料, 図書.
第3代花山天文台長を務めた宮本正太郎は, 1955年より定年で退職する1976年に至るまで, 20年以上もの間, 花山天文台で火星の観測を続け, 火星の大気に地球と同じような偏東風があることを発見し火星気象学を開拓した. 本資料はその発見の元となった火星観測のスケッチ(約3000枚)である. 遺族により, よい状態のまま保存されてきたもので, 2011年, 京都大学に寄贈された. スケッチを見ると, 火星の表面の模様が1か月で大きく変化していることがはっきりわかり, 宮本の偏東風の発見の興奮が伝わってくるようである. Observation records of Mars by Shotaro Miyamoto (an astronomer, who was a director of Kwasan Observatory, Kyoto University).
本資料は, ほとんど火星の観測記録(昭和31年[1956]〜昭和51年[1976], 手書き・宮本正太郎直筆のスケッチ)で占められる. わずかに花山天文台に関する草稿・実習案内, 図書資料が含まれる. 火星の観測記録は, 宮本正太郎の直筆のスケッチである. それらのスケッチは, 専用の用紙へ, 鉛筆で図が描かれ, ペンで日付・時間・気象状況等の書き込みがある. 専用の用紙は, 横に細長く,1枚にあらかじめ2つまたは3つの円が事前に記されてあり,この円内に望遠鏡に映し出された火星の様子を描いていったものと想像できる. 鉛筆・ペンの書き込みのない未使用かテンプレートとおもわれる用紙もある. 資料内容としては, 1956年7月から1976年3月までを時間的範囲に観測されたことがわかる. これら火星の手書きスケッチは, 花山天文台の30cm屈折望遠鏡(当時)による観測から得られた情報を記録していったものという. 図書資料は,卒業記念贈呈本であるが, 贈呈者は不明である(もと「AKIRA」〔アキラ〕および/または「Amakusa-A」〔アマクサ〕という人物の蔵書ヵ). 宮本正太郎の卒業論文の関連文献とおもわれる.
日付
- 作成: 昭和30年(1955)〜昭和51年(1976). 大正5年(1916)〜大正11年(1922)の図書類を含む.
作成者
- 宮本, 正太郎, 1912-1992 (Creator, 個人)
資料の言語
日本語 Japanese
資料の言語
English
利用条件
本コレクションは, 学術利用・教育研究利用の目的以外に利用できません.
This collection is open for research.
使用条件
本資料の原本は, 保存上の理由により, 閲覧できません.
Original materials are closed for preservation reasons.
伝記/歴史
本コレクションに関係する一般書の一つ,宮本正太郎著『火星 : 赤い惑星の正体』(東海大学出版会,1978年)末尾の著者紹介を,つぎに引用しておく. 1912年広島県に生まれる.1935年京都大学理学部卒業.宇宙物理学,月・惑星物理学,太陽物理学,恒星大気物理学などの研究をしてきた. 京都大学飛騨・花山天文台長,国際月面学会会長を経て,現在,京都大学名誉教授,国際惑星地質学会副会長として活躍中. 主な著書 初等天文学,宇宙科学入門,天文学概論,天体写真集,火星への旅,宇宙とは何か,惑星と生命,星と語ろうなど多数. 当時の自身の教育研究活動を要約したものと理解できる. また,京都大学大学院理学研究科附属天文台のwebページ下にあるNPO法人花山星空ネットワークのwebページのなかに,宮本正太郎の紹介がある(URL. http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/hosizora/miyamoto/shotaro-miyamoto.html ).そこでは,宮本正太郎の研究論文に対し「わが国の天体物理学のパイオニア」と形容し,つぎのように研究の時期を大きく3つに大別している. 第1期(〜1945年) 惑星状星雲・中性子星の研究. 第2期(1946〜1957年) 早期型特異星の大気・太陽コロナの研究. 第3期(1958年〜) 月の地形・火星の気象の研究. これにつづけて, 特に,太陽コロナの温度が150万度であることを,世界で初めて正しく計算したことは高く評価されています.花山天文台長時代には火星の観測・研究で活躍され,また天文普及にも尽力されました.NPO法人 花山星空ネットワークはその遺志を継いでいます. と記している.本コレクションの中にも垣間見ることのできる天文学の普及への関与から,同NPO法人のwebページに紹介記事が収録されているものと想像する. まだ本コレクションに関係する宮本正太郎の教育研究活動の詳細を明らかにできていないので,宮本正太郎が名誉学院長をつとめた京都コンピュータ学院の発行した論文集にある年譜を,別に引用しておく.
宮本正太郎年譜(引用: 宮本正太郎論文集,1993,京都コンピュータ学院)
- 1912年12月1日
- 穀物輸入商を営む宮本市助,民代の長男として尾道市に生まれる
- 1925年3月
- 尾道市長江小学校卒業(12歳)
- 1930年3月
- 広島県立第二中学校卒業(17歳)
- 1933年3月
- 旧制姫路高等学校卒業(20歳)
- 1933年4月
- 京都帝国大学理学部宇宙物理学科入学(20歳)
- 1936年3月
- 京都帝国大学卒業,卒論テーマは「相対性宇宙論」
- 1936年4月
- 京都帝国大学大学院入学
- 1936年6月
- 北海道北見国枝幸村にて日食観測に参加
- 1937年6月
- 陸軍広島野砲連隊入隊するが,陸軍病院に入院.10月に除隊.(24歳)
- 1940年4月
- 京都帝国大学理学部講師となる(27歳)
- 1943年2月
- 「遊星状星雲の研究」で理学博士となる.(30歳)
- 1943年7月
- 京都帝国大学理学部助教授
- 1948年6月
- 京都帝国大学理学部教授(35歳)
- 1955年1月
- 東亜天文学会副会長となる,1990年まで務めた後,名誉会長.(42歳)
- 1958年4月
- 花山天文台長となる(45歳)
- 1958年9月
- 火星共同観測打合せのためアメリカ・ローウェル天文台のA.G.ウィルソン博士が来台する
- 1958年10月
- 毎日放送番組審議会委員となる,1986年まで務める.
- 1961年1月
- フランスのドルフス博士と日仏初の金星共同偏光観測を開始(48歳)
- 1961年8月
- 国際天文連名(I.A.U.)総会(アメリカ・バークレー)に学術会議代表として出席
- 1962年10月
- 日米仏で月の共同観測をするため,アメリカ航空宇宙局(NASA)のカルター氏とフランスのコパール博士が来日する(49歳)
- 1964年5月
- 国際月面学会会長を1966年まで務める(51歳)
- 1965年1月
- 日米合同太陽研究会議(ハワイ)に出席(52歳)
- 1965年8月
- 月の研究会議(オレゴン)に出席
- 1966年6月
- イギリス・マンチェスター大学にてアポロ計画のための月面地図作りに参加(53歳)
- 1967年8月
- I.A.U.総会(プラハ)学術会議代表,国際惑星地質学会副会長となる(54歳)
- 1967年9月
- ポーランド・タトラ山での星雲研究会に出席
- 1968年10月
- 飛騨天文台開所,飛騨天文台長を兼任する(55歳)
- 1969年5月
- 日本天文学会理事長を1971年まで務める
- 1970年8月
- I.A.U.総会(イギリス・ブライトン)学術会議代表として出席(57歳),月・火星のクレーター命名委員となり「山本一清」「畑中武夫」を命名(57歳)
- 1973年8月
- I.A.U.総会(シドニー)学術会議代表として出席(60歳)
- 1973年9月
- コペルニクス生誕500年記念国際天文臨時総会(ワルシャワ)に出席する
- 1976年3月
- 京都大学理学部退官(花山天文台長および飛騨天文台長退官),京都大学名誉教授となる(63歳)
- 1976年4月
- 京都コンピューター学院名誉学院長に就任する
- 1976年8月
- I.A.U.総会(フランス・グルノーブル)に出席
- 1976年10月
- 紫綬褒章受章
- 1978年8月
- I.A.U.総会(ダブリン)に出席(65歳)
- 1979年8月
- I.A.U.総会(モントリオール)に出席,命名委員に指名され「夏目漱石」「野尻抱影」を命名(66歳)
- 1980年2月
- インドへ日食観察,記念としてアンコーラ大学前の丘が「ミヤモトヒル」と命名される(67歳)
- 1982年8月
- I.A.U.総会(ギリシャ)に出席(69歳)
- 1983年10月
- 叙勲 勲三等旭日中綬章(70歳)
- 1992年5月11日
- 幽門狭窄症にて死去(79歳)
分量(全体)
20 件[数量]
要約
第3代花山天文台長を務めた宮本正太郎は, 1955年より定年で退職する1976年に至るまで, 20年以上もの間, 花山天文台で火星の観測を続け, 火星の大気に地球と同じような偏東風があることを発見し火星気象学を開拓した. 本資料はその発見の元となった火星観測のスケッチ(約3000枚)である. 遺族により, よい状態のまま保存されてきたもので, 2011年, 京都大学に寄贈された. スケッチを見ると, 火星の表面の模様が1か月で大きく変化していることがはっきりわかり, 宮本の偏東風の発見の興奮が伝わってくるようである. Observation records of Mars by Shotaro Miyamoto (an astronomer, who was a director of Kwasan Observatory, Kyoto University).
編成整理
本資料は,資料の保管されていた状態のまま,資料番号を付与して整理していった.およそ年の単位で一括されていた火星スケッチ群は,2つまたは3つの円に火星の様子が描かれた紙片1枚を最小の資料単位(記述データの単位)とし,観測単位とおもわれる1つの円にまでは分解していない.このデジタルコレクションは,天文学の研究データとしてよりもむしろ,宮本正太郎の天文学研究の活動の証拠としての確かさを重視し,資料管理担当者の資料内容にかんする恣意的判断のおそれ(1つの円へ分けることで誤った観測単位としてしまう可能性)をつとめて回避しようとした.なお,天文学の研究データとしての本資料のデータの一式は,理学研究科附属天文台より別途に公開されることになっている.
保管履歴
宮本正太郎の退官後, 自宅(現遺族宅)で保管されてきたとおもわれる. 理学研究科附属天文台または総合博物館で預かり, 研究・天文学関係展示等に活用した.
複製の存在と所在
火星スケッチは, スケッチ用紙の単位でデジタル化された画像を, このデジタルアーカイブシステムを通して閲覧することができる.
Sheets of sketch paper in this collection can be viewed only by this digital archive system as a digitized image.
参考文献
宮本正太郎論文集. 京都, 京都コンピュータ学院, 1993.5.
物理的特徴
- m[書架延長]
出所・作成(表示) | Provenance(exp.)
宮本正太郎, 1912-1992. / Miyamoto, Shōtarō, 1912-1992.
«ARK(former)»
https://peek.rra.museum.kyoto-u.ac.jp/ark:/62587/ar20931.20931
その他の記述データ
本資料を含む理学研究科附属天文台関係の歴史的研究資料(天体写真ガラス乾板,天体写真ネガ,等)の保存のためのデジタルアーカイブプロジェクト開始を伝える大学の発表資料がある.URL. http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/080221_1.htm
参考文献
『花山天文台70年の歩み』. 京大理学研究科附属天文台, 1999.
『花山天文台80年の歩み』. 京大理学研究科附属天文台, 2009.
『宮本正太郎論文集』. 京都コンピュータ学院, 1993.
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/hosizora/miyamoto/miyamoto.html
注記・凡例等
記載事項に関して, 以下に注意されたい.
標題(タイトル) : 各資料の標題は, 原則として資料の記載(原標題)を採用し, 「( )」内に内容を補記した. 原標題がなく推定して標題を与えたばあい「[ ]」内に記し, 推定の標題も与えられないばあい内容を「( )」内に摘記した.
[火星スケッチのタイトル] 本コレクションの主要部分を占める火星スケッチは, とくにつぎのように標題を付した. (1)スケッチの円外にある「No.〜」のナンバリングがあるばあい, それを各スケッチの標題とした. (2)1枚の用紙に2つ以上のスケッチが描かれているばあい「No.〜, No.〜」と並列させた. (3)「No.〜」のナンバリングはないが, あきらかにそれに類するような数字の書込みがあるばあい, その数字を「( )」で囲んで標題とした. (4)用紙に2つ以上のスケッチが描かれているばあい, 「(〜, 〜)」と並列した. なお, これらの番号・数字は『宮本正太郎論文集』(京都コンピュータ学院, 1933年)掲載論文にある火星スケッチに付された番号と対応する. (5)番号の付されていないスケッチは, 「無番スケッチ」と記した. (6)スケッチとともに封筒に収められスケッチの描かれていない資料は, つぎのとおりとした. (6-1) 表紙 : スケッチ束の初め(表)にあるスケッチの用紙と同質あるいは異質の紙. (6-2) 裏表紙 : スケッチ束の終わり(裏)にあるスケッチの用紙と同質あるいは異質の紙. (6-3) 表当て紙 : 表側からスケッチ束を保護するスケッチの用紙と異質の厚い紙. (6-4) 裏当て紙 : 裏側からスケッチ束を保護するスケッチの用紙と異質の厚い紙. (6-5) 火星スケッチ用紙 : スケッチは描かれていない円が1個以上用意されている紙. (6-6) その他 : 資料の内容からスケッチと関係があるばあい, その関係を摘記した. -- 火星スケッチ以外の資料については, つぎのように標題を付した. (7)資料が出版物であるばあい, 出版物の標題を転記した. (8)複数の資料を内包するばあい, 「資料(一括)」等と付し, シリーズ標題とした.
日付 : 資料上の記載を尊重しつつ, 数字のみアラビア数字に統一して表記した.
出所・作成者 : 原則として資料上の記載を転記した.
数量 : 資料(群)の点数(または件数), 資料の大きさ・規模, その他の関連する情報を記した.
範囲と内容 : その資料(群)の明らかにする事実等の範囲・限界を略記したり, その内容を摘記したりすることを基本とした. その際, 原記載に引用符を付け引用して示すだけのこともある.
主題
- 宮本, 正太郎, 1912-1992 (個人)
- 海老沢, 嗣郎, 1930- (個人)
- 花山天文台 (団体)
- 京都大学大学院理学研究科附属天文台 Kwasan and Hida Observatories, Graduate School of Science, Kyoto University (Owner, 団体)
- 京都大学総合博物館 The Kyoto University Museum (Custodian, 団体)
地理学
- Kwasan (Yamashina--Kyōto--Kinki--Japan)
- Kyōto (Kinki--Japan)
- 京都
- 北白川追分町 (京都府 京都市 左京区)
- 北花山大峰町 (京都府 京都市 山科区)
- 日本
職業
トピック
- 出版物
- 出版物::星図
- 出版物::書籍 Books
- 天文学
- 宇宙物理学
- 恒星大気物理学
- 惑星気象学
- 火星
- 火星観測記録
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- 火星観測記録::スケッチ::1962-63年
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- 火星観測記録::スケッチ::1966-67年
- 火星観測記録::スケッチ::1968-69年
- 火星観測記録::スケッチ::1970-71年
- 火星観測記録::スケッチ::1973-74年
- 火星観測記録::スケッチ::1975-76年
- 火星観測記録::スケッチ雛形
- 火星観測記録::表紙等
- 絵画
- 花山天文台関係資料::原稿
- 花山天文台関係資料::配布資料
- タイトル
- 〈宮本正太郎資料: 火星スケッチ, 1955-1976〉資料目録. Inventory to Shotaro Miyamoto Papers: Drawings of Mars, 1955-1976.
- 状態
- completed
- 検索手段著者
- 記述担当者:五島敏芳, 池田素子. 入力者:池田素子, 五島敏芳.
- 日付
- 2009-03-31
- 記述規則
- dacs
- 記述の言語
- jpn
- スポンサー
- 京都大学研究資源アーカイブ.
- 版表示
- 2009年3月, デジタルコレクションとして登録. (五島). 2010年5月, コレクション記述の整備. (池田,五島). 2011年2月, コレクション記述, 検索手段凡例等の追加. (池田, 山下) / 記述全体の調整. (山下, 五島).
- EAD ID
- ark62587ar20931
リポジトリの詳細
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